【宮城県松島】西行戻しの松公園ってどういう意味?読み方や由来、桜の時期やカフェ「ル・ロマン」、駐車場や行き方などアクセス情報を解説
旅をしていると、土地の名前にふと心をつかまれる瞬間がある。松島を歩いていて出会った「西行戻しの松公園」という名も、まさにそうだった。初めて耳にしたとき、私は思わず立ち止まった。「教科書に載っていた、あの西行法師が来てたの?そして宮城から帰るきっかけになった松?」疑問が次々に浮かぶ。わざわざ公園の名前として残すぐらいだ。どんな物語が眠っているのだろう。宮城県の景勝地である松島は日本三景として知られ、数えきれないほどの旅人が訪れてきた場所だが、その中でもこの公園の名前はひときわ異彩を放っている。
私は地域文化を歩き、土地に刻まれた物語を拾い集める旅を続けている。地名には、その土地の歴史や人々の記憶が凝縮されていることが多い。だからこそ「西行戻しの松公園」という名に出会ったとき、ただの観光地としてではなく、文化の入口として向き合いたいと思った。松島湾を見下ろす高台にあるこの公園は、桜の名所として知られ、春には淡い花越しに松島の島々を望む絶景が広がる。だが、この場所の魅力は景色だけではない。名前の由来となった西行法師の伝承、松島の信仰と文学、そして現代の旅人を迎えるカフェ「ル・ロマン」や展望台──そのすべてが重なり合い、ひとつの風景を形づくっている。
旅の目的は、景色を見ることだけではない。 その景色が生まれた背景を知り、土地の文化に触れ、そこに息づく物語を自分の足で確かめることだ。西行戻しの松公園は、まさにその“文化の層”が静かに積み重なった場所だった。
今回は、名前の意味や読み方、由来となった伝承、桜の見頃、公園内のカフェ「ル・ロマン」、そしてアクセス情報まで、旅人として実際に歩きながら感じたことを交えて丁寧に紹介していく。
参考
松島観光協会「西行戻しの松公園 | 観る・遊ぶ | 日本三景松島」「西行戻しの松公園 | 日本三景 松島の魅力」
だてな広域観光推進協議会「西行戻しの松公園」
旅東北「西行戻しの松公園」
目次
「西行戻しの松公園」の読み方は?
「西行戻しの松公園」は、“さいぎょうもどしのまつこうえん”と読む。初めて見ると少し長く、どこか古典文学の一節のような響きがあるが、実際この地名には平安から鎌倉時代にかけての僧侶であり歌人・西行法師の伝承が深く関わっている。松島の観光地の中でも、名前の由来がここまで物語性を帯びている場所は珍しい。
公園は松島湾を見下ろす高台に位置し、松島の島々を一望できる絶景スポットとして知られている。松島海岸駅から車で約10分ほど、観光ルートの途中にあるためアクセスも良い。無料駐車場も完備されている。園内は広すぎず、散策しやすい規模で、展望台や遊歩道、そして後述するカフェ「Le Roman(ル・ロマン)」が旅人を迎えてくれる。
公園の魅力は、ただ景色が美しいというだけではない。松島湾の島々が最も立体的に見える角度に位置しており、海と空と島影が重なり合う“松島らしい風景”がここでは特に際立つ。晴れた日には、海の青と松の緑が鮮やかに映え、夕暮れ時には島々が淡い光に包まれる。季節によって表情が変わるのも魅力で、春は宮城県を代表する桜の花見スポット、夏は深い緑、秋は澄んだ空気、冬は静かな海と雪景色──どの季節に訪れても、松島の美しさを新たに感じられる。
「西行戻しの松公園」という名前は、旅人の興味を引く入口であり、この場所の文化的価値を象徴する看板でもある。
西行戻しの松公園
所在地:〒981-0213 宮城県宮城郡松島町松島犬田2
電話番号:0223545708
名前の由来
「西行戻しの松公園」という名前の由来は、平安から鎌倉時代にかけての歌人・西行法師にまつわる伝承にある。西行が諸国行脚の途中、松島へ向かう道すがら、この地にあった松の大木の下で一人の童子と出会ったという。童子は西行に禅問答を仕掛け、その問答に西行がかなわなかったため、松島行きを諦めて引き返した。それが「西行戻し」の名の由来とされている。
公園内には、今も「西行戻しの松」と呼ばれる松が残されている。柵に囲まれたその松は、周囲の松よりもひときわ大きく、確かに存在感がある。駐車場から徒歩5分ほどの場所にあり、展望台へ向かう途中で立ち寄ることができる。伝承の松そのものかどうかはともかく、この一本の松が、長い時間の中で“物語の受け皿”として人々の記憶を引き受けてきたのだろう。
西行戻しの松(歌人西行法師、平安時代)
〒981-0213 宮城県宮城郡松島町松島犬田10−174
公園から望む松島湾の絶景
西行戻しの松公園は、高台に位置する展望公園だ。ここから眺める松島湾は、まさに「日本三景・松島」のイメージそのものと言っていい。緑の島々が海に浮かび、その向こうには福浦島と赤い福浦橋が伸びている。タイミングが合えば、遊覧船がゆっくりと湾内を進み、まるで絵葉書のような光景が目の前に広がる。
この公園の展望台は、松島海岸の“後背地”にあたる位置にあり、海側からではなく、少し引いた高みから松島湾を見渡す構図になる。そのため、島々の重なりや奥行きがよく分かり、松島の地形そのものを俯瞰して眺めることができる。観光船から見る松島が“海からの視点”だとすれば、西行戻しの松公園は“空気ごと抱きとめる視点”と言ってもいいかもしれない。
宮城県を代表する桜の花見スポット
西行戻しの松公園は、松島エリアでも屈指の桜の名所として知られている。開花の時期になると、園内のソメイヨシノを中心とした約260本の桜が一斉に咲き誇り、展望台へと続く道が淡い桜色に包まれる。桜のトンネルをくぐり抜けた先に、松島湾の青と島々の緑が広がる。そのコントラストは、まさに「日本三景ならではの花見」と呼ぶにふさわしい。
桜の見ごろ
例年の見頃は4月上旬から中旬ごろ。松島は海に近いため、内陸部よりもやや気温が穏やかで、開花のタイミングも微妙にずれることがある。だからこそ、桜前線のニュースを追いながら「今がちょうど良さそうだ」と見計らって訪れる楽しみもある。
花見シーズンには多くの人が訪れるが、公園自体が適度な広さを持っているため、ぎゅうぎゅう詰めの窮屈さはあまり感じない。展望台周辺は写真を撮る人で賑わうものの、少し歩けば芝生広場や散策路があり、ゆっくり腰を下ろして桜と海を眺めることができる。レジャーシートを広げてお弁当を楽しむ家族連れもいれば、カメラ片手にひたすら構図を探す人もいる。それぞれのペースで春の松島を味わっている光景が、なんとも穏やかだ。
ライトアップは行われていないが、そのぶん自然光の中で移ろう桜の表情を楽しめる。朝の柔らかな光、昼の青空とのコントラスト、夕暮れに溶けていくような桜色。一日の中でも何度も表情を変える。 「桜と海と島影が一体になった花見」を体験したいなら、西行戻しの松公園は、間違いなく候補に入れておきたい場所だ。
カフェ le Roman(ル・ロマン)
西行戻しの松公園を歩いていると、展望台のすぐ近くに、全面ガラス張りの小さなカフェが現れる。 それが 「le Roman(ル・ロマン)」 だ。 松島湾を見下ろす高台に建つこのカフェは、まるで“風景を味わうための展望室”のような存在で、旅人の足を自然と止めてしまう。
店内は約30席ほど。大きな窓の向こうには、松島湾の島々が静かに浮かび、季節や天気によって表情を変える。 春は桜が窓いっぱいに咲き、夏は濃い緑と強い光、秋は澄んだ空気、冬は凛とした海──どの季節に訪れても、ここで過ごす時間は特別だ。 口コミでも「景色が良くて落ち着く」「窓際はすぐ埋まる」と書かれているように、松島の絶景をゆっくり眺められる貴重な場所として人気が高い。
メニューは、挽きたてのコーヒー、自家製スイーツ、軽食など。 特にチーズケーキやコーヒーは評判がよく、旅の途中でひと息つくにはちょうどいい。 観光地のカフェというより、“風景と時間を味わうための空間”という印象が強い。 天気が曇りの日でも、ガラス越しに見る松島はしっとりと美しく、晴れの日とは違う魅力がある。
営業時間は 11:00〜17:00(フードは15:00まで)、定休日は 火曜日。 公園内にあるため、展望台を楽しんだあとにそのまま立ち寄れるのも嬉しい。
カフェ ル・ロマン
所在地:〒981-0213 宮城県宮城郡松島町松島犬田10−174
電話番号:0223542778
アクセス(行き方)と駐車場情報
西行戻しの松公園は、松島観光の中心エリアから少し離れた高台に位置している。最寄り駅はJR仙石線「松島海岸駅」。駅から公園までは徒歩で約30分ほどかかる。歩けない距離ではないが、坂道もあるため、時間と体力に余裕があるときに選びたいルートだ。タクシーを利用すれば、松島海岸駅からおよそ5分程度で到着する。
車で訪れる場合は、三陸自動車道「松島海岸IC」から約10分。公園には約150台分の駐車場が整備されており、桜のシーズンなど混雑時でも比較的停めやすい。駐車場から公園まではすぐで、「西行戻しの松」へも徒歩5分ほどでアクセスできる。
西行戻しの松公園駐車場
所在地:〒981-0213 宮城県宮城郡松島町松島犬田10−174
公園へ向かう際に便利なのが、「町道松島パノラマ線」と呼ばれる道路だ。名前の通り、松島の景色を楽しみながら走ることができるルートで、ドライブコースとしても人気がある。ただし、パノラマラインは冬季間は閉鎖されるため、事前に通行状況を確認しておくと安心だ。
公共交通機関と徒歩でじっくり向かうのもいいし、車でさっと高台まで上がってしまうのもいい。どちらを選ぶかで、旅のリズムも少し変わってくる。個人的には、松島海岸周辺を歩いてからタクシーで公園へ向かい、帰りはまた別のルートで下る、というように“行きと帰りで景色を変える”楽しみ方もおすすめだ。
アクセスは決して悪くないが、「少し足を伸ばして行く場所」であることは確かだ。 だからこそ、展望台から松島湾を見下ろしたとき、「ここまで来てよかった」と素直に思えるのかもしれない。
西行戻しの松公園周辺の見どころ
西行戻しの松公園を訪れるなら、松島の他の名所と組み合わせて一日を組み立てたい。公園の近くには、日本の都市公園100選にも選ばれている「松島公園」があり、海沿いの遊歩道や芝生広場から、松島湾を間近に感じることができる。高台から俯瞰する西行戻しの松公園と、海辺から見上げる松島公園──視点の違いを楽しむのも面白い。
松島観光の定番である瑞巌寺や五大堂も、公園から車で数分の距離にある。瑞巌寺は伊達政宗ゆかりの禅寺で、国宝の本堂や洞窟群など、見どころが多い。五大堂は小さな島に建つお堂で、朱塗りの橋を渡って参拝する。その周囲から眺める松島湾もまた、味わい深い風景だ。
さらに、観瀾亭や円通院など、松島には歴史と景観が重なり合うスポットが点在している。西行戻しの松公園で“俯瞰の松島”を味わい、海辺のエリアで“間近な松島”に触れ、寺社で“祈りの松島”に出会う──そんなふうに、一日の中で松島の多層的な表情を体験することができる。名産品として松島こうれんもおすすめだ。
旅の組み立て方は人それぞれだが、西行戻しの松公園は「少し高いところから松島を見つめ直す場所」として、旅程のどこかにそっと差し込むとバランスがいい。午前中に寺社や海辺を歩き、午後に公園でゆっくり景色を眺める。あるいは、夕方の光を狙って展望台に立つ。 どの時間帯を選ぶかによって、松島の印象も少しずつ変わっていく。
まとめ
「西行戻しの松公園」という名前に惹かれて足を運んだこの場所は、想像していた以上に多層的な風景を持っていた。高台から望む松島湾の眺望、桜と島影が一体となる春の景色、白衣観音の静かな佇まい、柵に囲まれた西行戻しの松、ガラス越しに海を眺めるカフェテラス──それぞれが別々の表情を持ちながら、ひとつの公園の中で共存している。
西行法師と童子の禅問答の伝承は、この場所に“物語の芯”を与えている。単なる絶景スポットではなく、「ここで一度立ち止まり、引き返すことも選択肢として許される場所」として記憶されてきたことに、私は強い魅力を感じた。観光地としての松島の華やかさとは少し距離を置きながら、しかし確かに松島の本質を映し出している──そんな不思議なバランスの上に成り立っている公園だ。
アクセスは、松島海岸駅から徒歩やタクシー、車ならパノラマライン経由と、決して難しくはない。ただ、「わざわざ行く」感覚が残る場所でもある。その“ひと手間”があるからこそ、展望台からの景色や、桜のトンネルを抜けた先に広がる松島湾の姿が、より深く心に刻まれるのだと思う。
旅は、景色を見るだけでなく、その土地の名前や物語に耳を傾けることで、ぐっと厚みを増していく。 西行戻しの松公園は、松島という日本三景の中にひっそりと佇む、“物語の舞台”のひとつだ。
ここで立ち止まり、海を眺め、自分の歩みを少しだけ振り返ってみる。 そんな時間を持つために、この公園を旅の一頁にそっと挟んでおきたいと思う。
投稿者プロ フィール

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地域伝統文化ディレクター
宮城県出身。京都にて老舗和菓子屋に勤める傍ら、茶道・華道の家元や伝統工芸の職人に師事。
地域観光や伝統文化のPR業務に従事。
