【宮城県石巻市】釣石神社はなぜ落ちない?参拝してこっこ屋の唐揚げを食べてきた!読み方やご利益、アクセスや駐車場など解説!
宮城県石巻市にある「釣石神社(つりいしじんじゃ)」は、“落ちそうで落ちない岩”で知られる不思議な神社だ。東日本大震災でも落ちなかった巨石は、今では「落ちないご利益」の象徴として受験生や仕事運を願う人々から厚い信仰を集めている。私自身もずっと気になっていた場所で、今回ようやく参拝することができた。
そもそも私は、宮城や東北の地域文化を探訪することをライフワークのように続けている。理由は単純で、文化は都市ではなく“地域”にこそ残っていると思うからだ。効率化された都市は便利だが、便利さの裏側で文化が削ぎ落とされていく。対して地域には、人々の暮らしの積み重ねがそのまま文化として残り、土地の記憶として息づいている。
文化は、誰かが守ってきたから残っている。 そして、誰かが語り継がなければ消えてしまう。
私は専門家ではない。ただの素人だ。 けれど、素人だからこそ「知らなかった文化に出会う驚き」をそのまま言葉にできる。 その驚きが、誰かの“地域を知るきっかけ”になればいいと思っている。
今回訪れた釣石神社も、まさに地域文化の宝のような場所だった。 落ちない岩の迫力、静かな境内、そして参拝後に立ち寄った「こっこ屋」の唐揚げの美味しさまで含めて、石巻の魅力がぎゅっと詰まった小さな旅になった。
この記事では、釣石神社の読み方・ご利益・アクセス・駐車場などの基本情報から、実際に参拝して感じたことまで、素人目線で丁寧に紐解いていく。
参考
石巻日日新聞「落ちそうで落ちない山盛りの店|唐揚げこっこ屋(石巻市北上町)」
石巻観光協会「釣石神社」
石巻市「釣石神社 - 石巻市」
釣石神社とは?
宮城県石巻市北上町にある「釣石神社(つりいしじんじゃ)」は、全国的にも珍しい“落ちそうで落ちない岩”を御神体とする神社だ。北上川の支流沿い、山の斜面に寄り添うように建つ小さな社で、初めて訪れると「こんな場所に本当に神社があるのか」と思うほど静かで素朴な佇まいをしている。
釣石神社の創建は古く、詳細は定かではないとのことだが、1618年(元和4年)頃に現在の場所に移られ信仰されてきたと伝わる。御祭神は天児屋根命(あめのこやねのみこと)。中臣氏(のちの藤原氏)の祖神として知られ、祝詞を司る神、知恵の神、学業成就の神として古くから崇敬されてきた。 そのため、釣石神社は「落ちない岩」のイメージだけでなく、学業成就・合格祈願の神社としても人気が高い。
神社の名前の由来となった「釣石」は、境内の斜面に巨大な岩がせり出すように乗っている姿から名付けられたという。まるで崖からぶら下がっているように見えることから「釣り下がる石=釣石」と呼ばれたという。実際に目の前に立つと、その迫力に息をのむ。写真では伝わらない“今にも落ちそうなのに落ちない”不思議な存在感がある。
釣石神社が全国的に知られるようになったのは、2011年の東日本大震災の後だ。震度6強の揺れにもかかわらず、この巨石は落ちなかった。むしろ、わずかに位置を変えながらも、しっかりと斜面に残り続けた。その事実が「落ちないご利益」として広まり、受験生やビジネスパーソンが参拝に訪れるようになった。
境内は大きくはないが、山の静けさと川の音が重なり、どこか時間が止まったような空気が漂っている。石巻市の中でも、特に“土地の記憶”が濃く残る場所だと感じた。
釣石神社
所在地:〒986-0201 宮城県石巻市北上町十三浜菖蒲田305
電話番号:0225256345
なぜ“落ちない”のか
釣石神社の象徴である巨石は、なぜ落ちないのか。 実際に目の前に立つと、その疑問はより強くなる。岩は斜面に乗るようにして存在し、角度だけ見れば「これは落ちるだろう」と思うほど不安定に見える。しかし、何百年も落ちずにそこにある。
地質学的には、岩の重心や下部の支えによって安定していると説明される。だが、震度6強の揺れでも落ちなかったという事実は、単なる物理現象だけでは片付けられない“何か”を感じさせる。地元では古くから「神が支えている石」と語られ、信仰の対象として大切にされてきた。
釣石神社の御祭神・天児屋根命は、知恵と学問を司る神であり、祝詞の神としても知られる。 その神が祀られる場所に“落ちない岩”がある──この組み合わせが、現代では「受験に落ちない」「仕事で落ちない」「人生で踏ん張れる」という象徴として受け止められている。
震災後、釣石神社は「落ちない神社」として全国から注目を集めた。 受験シーズンには絵馬がずらりと並び、仕事運や勝負運を願う参拝者も多い。 人々がこの岩に祈りを託すのは、単に“落ちない”という言葉の縁起の良さだけではない。 震災という未曾有の揺れを耐え抜いた岩の姿そのものが、「揺らいでも折れない強さ」を象徴しているからだ。
巨石の真下に立つと、自然の力と信仰が重なり合ったような静けさがある。 岩の重さ、年月の積み重ね、そして震災を乗り越えた土地の記憶──そのすべてが圧倒的で、言葉を失う。 「落ちない」という言葉が、単なる縁起ではなく、人生の支えのように感じられる瞬間だった。
釣石神社の巨石は、ただの奇岩ではない。 地域の人々が守り続けてきた信仰の象徴であり、訪れる人の心にそっと寄り添う存在だ。
実際に参拝してみた
釣石神社の鳥居をくぐると、まず感じるのは“静けさ”だ。 観光地のような派手さはなく、山の匂いと川の音が混ざり合う、素朴で落ち着いた空気が流れている。参道を進むと、すぐに例の巨石が視界に入る。写真で見慣れていたはずなのに、実物の迫力はまったく別物だった。
巨石は斜面に乗るようにして存在し、真下から見上げると、まるで空に浮かんでいるように見える。 「本当に落ちないのか?」という疑問と、「落ちないでいてくれてありがとう」という感謝が同時に湧いてくる。不思議な感覚だ。
本殿は巨石のすぐそばに建てられており、岩と社殿が一体となって神域を形作っている。 本殿の前に立つと、自然の力と人の祈りが重なり合ったような、独特の静けさがある。 天児屋根命を祀る神社らしく、境内にはどこか“整った空気”が漂っていた。
絵馬掛けには、受験生や家族の願いがびっしりと並んでいる。 「第一志望に合格しますように」「落ちませんように」──その言葉のひとつひとつに、釣石神社がどれだけ多くの人に寄り添ってきたかが伝わってくる。
境内の奥には、小さな祠や石碑もあり、ゆっくり歩くと意外と見どころが多い。 特に、巨石の裏側に回り込むと、岩がどのように斜面に乗っているのかがよく分かり、自然の造形の不思議さに思わず立ち止まってしまう。
参拝を終えて振り返ると、巨石が静かにそこに佇んでいた。 揺らいでも落ちない岩──その姿は、人生の中で踏ん張りたいときに思い出したくなるような、力強い象徴だった。
「こっこ屋」の唐揚げを食べてきた
釣石神社を参拝したあと、ぜひ立ち寄ってほしいのが、石巻市北上町にある人気店「こっこ屋」だ。地元の人にも愛される唐揚げ専門店だ。
こっこ屋の唐揚げは、とにかく“衣が軽い”。外はカリッと香ばしく、中は驚くほどジューシーで、噛むたびに肉の旨味が広がる。観光地のグルメというより、地元の人が普段から食べている“生活の味”という印象が強い。お腹いっぱいになって受験に挑戦してほしい、という店主の心意気が伝わってきた。
お店は境内の中にあり、こぢんまりとしているが、揚げたての香りが漂い、どこか懐かしい雰囲気がある。注文してから揚げてくれるため、少し待ち時間はあるが、その分、熱々の唐揚げが食べられる。参拝後の空腹に、この揚げたての唐揚げは最高のご褒美だった。
特におすすめなのは、「落ちない唐揚げ」。香りが強すぎず、後味がすっきりしているため、何個でも食べられる。演技も担がれていて気分が良くなる。お弁当やテイクアウトも人気で、地元の人が次々と買いに来る姿を見て、「本当に愛されている店なんだな」と実感した。
釣石神社は山の中にあるため、参拝後に食事をする場所が限られている。そんな中で、こっこ屋の存在はとてもありがたい。観光客だけでなく、地元の人の生活に根ざした店に立ち寄ることで、旅の満足度がぐっと上がる。
“落ちない岩”を参拝したあとに、揚げたての唐揚げを頬張る──この組み合わせは、釣石神社の旅を締めくくるのにぴったりだった。
から揚げ こっこ屋
所在地:〒986-0201 宮城県石巻市北上町十三浜菖蒲田305
電話番号:09092071317
アクセス・駐車場情報
釣石神社(つりいしじんじゃ)は、宮城県石巻市北上町にある。初めて訪れる人にとっては少し分かりにくい場所にあるため、アクセス情報を丁寧にまとめておきたい。
車で向かう場合、最も分かりやすいのは三陸自動車道「河北IC」または「石巻河南IC」から北上川沿いに進むルートだ。川を右手に見ながら北上町方面へ向かうと、やがて「釣石神社」の案内板が現れる。そこから細い道を進むと、山の斜面に寄り添うように建つ鳥居が見えてくる。
道路はところどころ狭く、カーブも多い。特に冬季は路面が凍結することもあるため、運転に自信がない人は日中の明るい時間帯に訪れるのがおすすめだ。
駐車場は神社のすぐ手前に無料駐車スペースがある。100台以上停めれる大きな駐車場で、参拝者の回転も早いため、満車で困ることは少ない。もし満車の場合は、少し離れた場所にある臨時駐車スペースを利用できることもある。
釣石神社 駐車場
所在地:〒986-0201 宮城県石巻市北上町十三浜菖蒲田295
公共交通機関で訪れる場合は、JR石巻駅から「ミヤコーバス・北上線」に乗り、「上品の郷」バス停で下車。そこから徒歩約10分ほどで鳥居に到着する。バスの本数は多くないため、事前に時刻表を確認しておくと安心だ。
神社の周辺はコンビニや飲食店が少ないため、飲み物や軽食は事前に準備しておくと良い。境内は山の斜面にあるため、歩きやすい靴で訪れるのがおすすめだ。
初めて訪れる人にとって、釣石神社は少し“秘境感”のある場所だが、その分、辿り着いたときの静けさと神聖さは格別だ。アクセスの手間も含めて、この神社の魅力だと感じた。
参考
石巻市「北上地区住民バス運行時刻表(令和7年4月1日~) - 石巻市」
釣石神社周辺のおすすめスポット
釣石神社を訪れたら、周辺にも魅力的なスポットがいくつかある。せっかく石巻市北上町まで足を伸ばしたのなら、少し寄り道してみるのも楽しい。
まずおすすめしたいのが、北上川沿いの風景だ。川幅が広く、ゆったりと流れる北上川は、季節ごとに表情を変える。特に夕暮れ時は、川面が金色に染まり、思わず車を停めて眺めたくなるほど美しい。
次に訪れたいのが、旧北上川の河口周辺にある。海と川が交わる場所で、潮風が心地よく、釣り人の姿も多い。静かな時間が流れていて、旅の途中で気持ちを整えるのにちょうどいい。
さらに、車で少し足を伸ばすと、石巻市街地にもアクセスできる。 石巻といえば、石ノ森萬画館が有名だ。仮面ライダーやサイボーグ009など、石ノ森章太郎の世界観を楽しめるミュージアムで、子どもから大人まで人気がある。復元されたサンファン号も見れる。
また、北上町の近くには雄勝(おがつ)エリアもある。雄勝硯で知られる地域で、震災後に再建された「雄勝ローズファクトリーガーデン」は、地元の人々の手で育てられた美しい庭園だ。海を望むロケーションも素晴らしい。
自然が好きな人には、神割崎(かみわりざき)もおすすめだ。巨大な岩が真っ二つに割れた景勝地で、太平洋の荒波が岩の間を打ちつける迫力は圧巻。釣石神社の“落ちない岩”とはまた違う、自然の力を感じられる場所だ。
釣石神社の参拝だけで帰るのはもったいない。 石巻の海、川、山、文化──そのすべてが、この地域の魅力を形作っている。 寄り道をしながら、土地の空気をゆっくり味わう旅にしてほしい。
まとめ
釣石神社を訪れてみて感じたのは、この場所がただの“珍しい巨石の神社”ではなく、石巻という土地の記憶と、人々の祈りが折り重なった静かな聖域だということだった。落ちそうで落ちない岩は、写真で見るよりもはるかに迫力があり、震災を乗り越えてなお斜面に残り続ける姿は、言葉では説明できない力を放っていた。
御祭神である天児屋根命は、知恵と学問を司る神。そこに“落ちない岩”が重なることで、釣石神社は自然と「学業成就」「合格祈願」「仕事運」の神社として親しまれてきた。境内に並ぶ絵馬の数々を眺めていると、この場所がどれほど多くの人の願いを受け止めてきたのかが伝わってくる。
参拝を終え、こっこ屋の唐揚げを頬張ったとき、旅の緊張がふっとほどけた。揚げたての香り、地元の人が次々と訪れる店の空気──こうした“日常の風景”に触れることで、地域文化はより立体的に見えてくる。神社だけでなく、食や風景、人の営みがすべてつながって、その土地の文化を形づくっているのだと改めて感じた。
私は地域文化を探訪する理由を、いつも言葉にするのが難しい。けれど、釣石神社のような場所に立つと、その理由が少しだけ分かる気がする。文化は都市ではなく、地域にこそ残っている。効率化された街では削ぎ落とされてしまう“人の営みの積み重ね”が、地域にはそのまま息づいている。誰かが守り、誰かが語り継いできたからこそ、今の私たちが触れることができる。
だからこそ、私は素人なりに地域文化を紐解き、言葉にして残したいと思っている。 それが誰かの「行ってみたい」「知りたい」という気持ちにつながれば、文化はまた次の世代へと受け継がれていく。
釣石神社は、そんな“文化の連続性”を静かに教えてくれる場所だった。 落ちない岩の前に立つと、自分の中にも小さな“揺らがない芯”が生まれたような気がした。
投稿者プロ フィール

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地域伝統文化ディレクター
宮城県出身。京都にて老舗和菓子屋に勤める傍ら、茶道・華道の家元や伝統工芸の職人に師事。
地域観光や伝統文化のPR業務に従事。

